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庭づくりで知っておきたい植物選びのポイントとおすすめの植物

植栽プラン

庭づくりの際、シンボルツリー何にしよう、、、など悩むことの多い植物選び。

庭づくりでの植物選びの一助となるように、ここでは、選ぶ順序、考慮するポイント、おすすめの植物について、ガーデンデザイナーの経験から解説します。

1 選ぶ順序

庭に植える植物は、大きいものから考えます。

①まずは、シンボルツリーなど、庭の骨格となるメインの樹木の配置と種類を決めます。

②次に、中低木。これはメインの樹木を補完する役目や、グリーンを足したいところに配置します。

③それから、下草や草花類を考えます。下草・草花類は主なものだけ決めて、あとは季節ごとに足す、売っているものを見て足す、生長具合を見て足し引きするなど、常に調整する部分です。

中でも特に重要なのは、最初に考えるメインの樹木です。

なぜなら、それらによって、庭の雰囲気や目隠し効果などが大きく左右され、また一旦植えるとやり直すのが大変だからです。

見方を変えれば、庭の雰囲気を変えたい場合、メインの樹木を変えるとイメージチェンジ効果が大きいとも言えます。

2 考慮するポイント

では、どのようなポイントを考慮して庭に植える植物を選ぶのか。

意外に色々なポイントを考慮することが必要です。

2-1 植えるスペースとのバランス

まずは、どこに何が必要か、植えるスペースとのバランスを見て見当をつけます。

・メインとなる樹木は多く入れ過ぎない方がバランスが良い。一つの庭に1~3本くらい

・「視点」を意識して、どこから見た時にどう見えたいか想像して配置を考える

例えば、リビングから見た時に良い感じにしたい、家の外から見た時に目隠しになるようにしたい、アプローチから見た時に映えるようにしたい、などが考えられます。それぞれの家の事情によって大切にしたい視点は様々だと思うので、自問自答してみてください。

どこにどんな感じのグリーンが欲しいか、見当をつけた後、植物を選定して行きます。

2-2 植える環境に合っているか

植物は元々自生していた環境を好みます。

その好みは大まかに分けて、日向、日陰、乾燥、湿潤、温暖、寒冷、などが挙げられます。植えたい場所はどのような環境なのか、ざっくりでも把握して植物を選ぶようにします。

植物の「原産地」はつまり自生していた地域ということなので、重要な情報です。一概には言えませんが、日本や東アジア原産のものは元々日本の環境に適しているので庭に植えても丈夫なものが多いです。一方、例えばオーストラリア原産、地中海原産、など日本と気候が違う地域原産の植物は、思わぬところで枯れたり、気難しい面を持っていることがあります。

なお、シンボルツリーに人気の樹木は、環境をあまり選ばない丈夫なものがほとんどです。よくわからない場合は、人気の樹木から選ぶのも一手です。

もし、庭に採り入れたい植物が具体的にある場合は、逆に、その植物がどのような環境を好むか調べて、庭の中のなるべく合う環境に植えましょう。

2-3 常緑か落葉か

冬でも葉がついている木は常緑樹、冬は落葉して葉がない木は落葉樹と呼ばれています。

庭の植物、特に「メインの樹木」を選ぶ時は、常緑か落葉かを意識することは重要です。

・常緑樹は目隠し効果が欲しいところに

・落葉樹は季節感や冬に明るさが欲しいところに

配置すると良いでしょう。

また、どちらでもシンボルツリーには適しています。

・常緑樹が多いと庭が暗い印象になり、落葉樹が多いと冬の庭が殺風景になるので、両者を混在させましょう

・中低木や下草類も、常緑性と落葉性を意識して組み合わせると、バランスの良い植栽になります

2-4 「好き」は大切

好きな植物、という視点から庭の植物を選ぶことも大切です。

強い愛着が持てますし、手入れのモチベーションも上がります。

しかし、好みの植物と庭の環境が合わない場合は、、、残念ですが植えるのをあきらめた方が良いと思います。環境に合うことは好みより重要です。

好みには、演出したい雰囲気も含まれるでしょう。例えばナチュラル感を出したい時は雑木類、和風にはモミジなど、モダンな感じであれば針葉樹などが合うでしょう。

また、樹形にも着目しましょう。幹が地際から複数出ている「株立ち樹形」は自然な雰囲気を、幹が1本の単木は堂々とした印象を与えるので、演出したい雰囲気によって樹形も選びます。ただし、樹形は後々手入れしながら作り込むことが可能なので、そこまで重要ではありません。

2-5 管理しやすさ

植物は必ず生長して茂ります。美しい庭にするには定期的な手入れが必要です。

植物によって、丈夫な性質と繊細な性質があります。丈夫な性質の植物の方が管理がしやすいので、できれば丈夫な植物を選びましょう。

また、生長が速すぎる植物は管理が難しいです。人気の「アカシア」(ミモザと呼ばれることも)や「ユーカリ」は、生長が速くて制御不能になることが多いのでおすすめできません。

人気が高くて最近よく使われている「シマトネリコ」も生育旺盛でよく茂ります。美しさを保つには1年に2回くらいのペースで剪定が必要で、管理がちょっと大変です。広いスペースがあれば涼しげで立派な姿を楽しめますが、庭が狭い場合は使わない方が賢明だと思います。

2-6 入手しやすさ

意外に見落としがちですが、入手しやすい植物かどうかも大事な点です。

マニアックなものは入手が難しく、価格も高いことがよくあります。

園芸店をのぞいたり、造園業者に聞いてみれば入手しやすいかどうかわかります。

また、園芸植物は流行もあるので、流行しているものは入手しやすい傾向があります。流行は変わるので、入手しやすい植物も時代によって変わります。

2-7 植えて反応を見る

ここまで書いてきて逆のことを言うようですが、結局は実際に植えて様子を見てみないとわからないことが多いです。

植物は生き物なので、周囲の環境や生物との相互作用でどのような反応をするかわからない部分も多いです。土壌との相性も、植えてみて初めてわかることがあります。

今までお客様の庭に色々な植物を植えてきましたが、これが良いはずだ、環境に合うはずだ、とセオリー通りに植えても、予想とは違う育ち方、ダメになったり思ったより繁茂したり、ということを何度も経験しました。その経験から学んだことは、植えてみないとわからないことは多く、反応を見ながら足したり引いたり調整を繰り返すこと、そんな試行錯誤もまたガーデニングの楽しみの一部なのだということです。

3 おすすめの植物

ガーデニング本やネット検索などを見ると、多数のガーデニング用植物が紹介されています。たくさんあって、何を選べばよいかわからないことはありませんか?

ここまでにご紹介した植物選びのポイントを踏まえても、やはり何を選べばよいかわからないと思います。

そこで、ご参考まで、今まで約230件の庭のデザインと施工をした経験から、これが良かったな、という植物をご紹介します。なお、現場は全て東京でした。違う地域ではまた違う植物が適していると思うので、あくまでもご参考までです。

3-1 シンボルツリー

【常緑樹】

ソヨゴ

株立ち樹形のソヨゴ

[原産地]日本、東アジア

[樹高]5~10m

[日当たり]日なた~半日陰

[特徴]秋~冬に小さい赤い実がつき、特に冬は庭に彩りを与えてくれる。

雌雄異株のため、実を楽しむ場合は雌株を植える。

自然に樹形が整うので手入れはほとんど不要。2年に1回くらい不要な枝を切り落として風通しを良くする剪定をおこなう程度。

生長もゆっくりで管理がとても容易。

地際から何本か幹が出ている「株立ち樹形」の方がシンボルツリーらしい雰囲気が出ておすすめ。

常緑ヤマボウシ ホンコンエンシス

[原産地]中国南部~インドシナ半島

[樹高]3~8m

[日当たり]日なた~半日陰

[特徴]初夏にハナミズキに似た白い花が咲いて華やかになる。

葉が密につき、樹形もまとまりやすく、目立った病害虫もない。

【落葉樹】

ジューンベリー

[原産地]北アメリカ

[樹高]3~6m

[日当たり]日なた~半日陰

[特徴]早春に白い花が咲き、6月に赤い実がなる(熟したものは食べられる)。秋の紅葉も美しく、庭木としての魅力が多い。

根元からひこばえが出て株立ち樹形になる。

生長が早いので、毎年剪定して樹高や樹形を調整する。それほど枝葉は茂らないので、剪定は混みあった枝を間引く程度で十分。剪定時期は落葉期と初夏の果実収穫後がベスト。

ツリバナ

[原産地]日本、アジア北東部

[樹高]2~5m

[日当たり]日なた~半日陰

[特徴]枝が細くしなやか。秋に実るつりさがった赤い実がかわいい。紅葉も美しい。

成長はゆっくりで、自然樹形が美しいので剪定の手間も少なく管理が楽。

雑木の庭やナチュラルガーデンに似合う。

3-2 中低木

丈夫で扱いやすかった中低木を以下に挙げます。

メインの樹木に添えたり、株元に植えて雰囲気を演出したり、グリーンの量を補充するのに使うなど、なにかと便利なのでぜひ取り入れて欲しいです。

【常緑樹】

カラタネオガタマ

丈夫で育てやすい。

春に咲く花はバナナのような強い甘い香りがする。

狭い場所などではシンボルツリーとしても使える。

フェイジョア

丈夫で育てやすい。

シルバーがかった葉が個性的。

花も実も楽しめどちらも食べられるが、1本で結実する品種と結実には2品種以上の異なる木が必要な品種がある。

狭い場所などではシンボルツリーとしても使える。

オタフクナンテン

オタフクナンテン

丈夫な性質で樹高も高くならないので大きい木の株元などに植えるのに向いている。

常緑だが冬に紅葉して彩りを添えてくれる。

葉がよく茂るので、混みあったところをすっきりさせる剪定をすると美しさが保たれる。

マホニアコンフューサ

マホニアコンフューサ

非常に丈夫な性質で、耐陰性もあり、土壌も選ばず生長も緩やか。

和洋問わず取り入れられ活用範囲は広い。

ボリュームが出過ぎたら枝先を詰めたり、間引き剪定を行う。

ビバーナム ティヌス

樹高2~3mになり、萌芽力が強く葉も密になるので、目隠しなどに重宝する。

春に白い花を咲かせ、その後青黒い実がなる。実は独特の魅力があり切り花としても人気がある。

丈夫な性質で目立った病気もないが、日当たりと風通しが悪い場所ではハムシがつきやすい。

【落葉樹】

アジサイ類

紫色のアジサイ

日本の蒸し暑い気候に適していて育てやすく品種も豊富。

見ごたえのある花を楽しむ場合はセイヨウアジサイ、ガクアジサイ、アナベルなど、雑木の庭や和庭のような野趣を楽しむ場合はヤマアジサイなど、好みのシーンに合う品種を選ぶ。

ヒメウツギ

ヒメウツギの花

日本に自生するウツギの小型種。

春に白くやや下向きの花を房状に多数咲かせる。非常に強健で、土壌も選ばず、大きくなり過ぎないので庭植えに重宝する。

剪定も整える程度で管理できる。

コデマリ

枝垂れた枝に沿って手毬状の白い花をたくさんつける。

細くて柔らかい枝ぶりだが性質は強健でどこでも育てやすい。

剪定は枝先を切り詰めないで、古くなった枝や小枝を下部から切り取って間引くようにすると樹形が乱れない。

コバノズイナ

丈夫で日陰にも強い。

樹高1mくらいでまとまるので管理も容易。

白花の花穂は10cmほどになり個性的で茶花としてもよく使われる。秋の紅葉も美しい。

3-3 下草類

ギボウシ

ギボウシ

落葉多年草

下草類の中で一押しの宿根草。日本原産、丈夫で管理の手間がかからない。大きな葉と初夏から夏に咲く花が楽しめる。カラーリーフとして存在感があり、欧米でも人気がある。冬の間は地上部の葉は枯れる。多数の品種があるので、好みや植える場所に合わせて選ぶと良い。葉焼けするので強い日が当たる場所は避ける。

クリスマスローズ

クリスマスローズの花

常緑多年草

寒さに強く丈夫で育てやすい。花の少ない時期(1~3月)に長期間咲いて庭に彩りを与えてくれる。花色は白、ピンク、アプリコット、黒、黄緑色など多彩。木の根元などの明るい半日陰が生育適地だが、それ以外の環境でもよく育つ。秋に傷んだ葉を取り除いておくと、冬に咲く花をきれいに見られる。

フッキソウ

常緑小低木

暑さ寒さに強く、グラウンドカバーとしても使える。半日陰が適地で、日差しが強い場所では葉焼けを起こすことがある。湿り気がある方が元気に育つ。

ヤブコウジ

常緑小低木

小型で丈夫。林の縁などに自生しているので、明るい日陰が最適。

アスチルベ

落葉多年草

細かい花が房状に咲き初夏の庭を彩る。花色が白、ピンク、薄紫、赤などバリエーションがある。とても丈夫だが強い日差しで葉焼けを起こすので、半日陰向きで木陰などが適地。

アジュガ

アジュガ

常緑多年草

丈夫で寒さに強く、子株ができて増える。日陰でも育つ。春~初夏にピンクや青紫色の花穂が立ち上がる。斑入り葉や銅葉などの品種もあり、グラウンドカバーとして重宝する。

ティアレラ

常緑多年草

白やピンクの小花が日陰でもたくさん咲く。葉はカラーリーフとしても活躍。強い日差しは葉焼けを起こすので避ける。

ヤブラン

常緑多年草

丈夫でよく増える。楚々とした薄紫色の花も魅力。斑入り葉の品種もある。秋に瑠璃色の実がなる。春先に根元から刈り込むと新芽がよく伸びる。日陰でもよく育つが花は少なくなる。

3-4 果樹

ブルーベリー

花、実、紅葉と四季を通して楽しめ、丈夫で育てやすく庭に植える果樹として非常におすすめ。

実は未熟だと酸味が強いので、完熟させてから収穫する。

乾燥を嫌うので夏場に水切れしないよう注意する。

ユズ

ハナユズや一才ユズと呼ばれているものが小型で育てやすく、木が小さいうちから実をつけてくれる。

日向が望ましいが、半日陰程度でも十分に育つ。

初心者におすすめの果樹。

4 デザイン作業

私は、紙の上でいったんプランした方が考えやすいと思います。

平面図でも、庭の写真をプリントアウトしたものでもよいので、やりやすい方法で大まかに配置を書き込んでみましょう。自分だけがわかれば良い、という程度の書き方で十分です。

頭の中でモヤモヤと考えているよりも、考えがまとまります。

加えて、実際に植える時に、植物を仮置きして、植える前にバランスを確認・調整することもとても大切です。

~植栽プラン例~

まとめ

庭づくりの際の植物の選び方について、選ぶ順序、考慮するポイント、おすすめの植物をご紹介しました。

特に、考慮するポイントの中で「環境に合っているか」「管理しやすいか」「植えて、反応を見ながら調整する」は重要です。

近年は、夏の厳しい暑さなど、温暖化の影響が特に懸念されます。庭に合う植物もあたたかい地域の植物が増えてくるかもしれません。例えば、レモンなどは以前より育てやすくなっている気がします。植物の反応を見ながら変えていくことは、気候の変化に対しても言えることだと思います。

ご紹介したおすすめの植物は、ほんの一部で、他にもおすすめはたくさんあります。好きな植物を植えて楽しむのはガーデニングの醍醐味ですので、自由な気持ちは忘れないでください。

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